

V o l :2002/008
Date:2002/6/26
◇GT選手権/第4戦 セパン◇
マハティールさんが来秋にも退陣されるそうですね、 マレーシアにおける国際文化誘致に積極的だったとされ、その一環に「F-1」があり、またその延長上に「全日本GT」があるものだと聞いていますが、「新首相」も引き続きこの路線を崩さないでほしいですね。 それにしてもこの国は、訪れるたびに思うけど、施設の充実さに関しては見事ですねえ。 残念ながら、その運用に関してのノウハウというかソフトの部分についてはまだまだとしか言いようがないですが、設備に関してはサーキットやホテル、高速道路にいたるまで一級品といえるものです。でも、こんなに立派なものを無理して作る必要があるのかなあ…?と、思ってしまうほど国民の国際感覚などは追いついていないようです。 首都クアラルンプールと、KL国際空港を結ぶ立派な高速道路は、日本に比べその走行台数はかなり少なく、収支は成り立っているのかなあ…?とも思わせるほどですが、一方ではもうすでに、この間を結ぶ高速鉄道のプランも持ち上がっていて、空港にはその立派な模型が飾られていました。「造んの好きなのね、どこまでも…、」って感じであるが、これってアジアの国々の政治の特徴なんですかねえ…、どっかの国も含めて…。
僕としては3度目のセパンであるが、相変わらずこのサーキットも素晴らしいものだ、テクニカルでチャレンジングなコースレイアウトで、セフティーゾーンも広く、ブレーキでも壊れない限りクラッシュはしそうにない。人々は概ね朗らかで親切な人が多く(もちろん中には不正を働く奴もいるが)路面温度が50℃にも達する暑さを除いては、なかなか快適である。 いつもの競技長も、ブリーフィング時の言葉の歯切れもよく、国内の日本人競技長のそれよりも痛快といえるものである。ドライバーからの、くだらない「重箱の隅」をつついたような質問にも見事に切り返して見せ、質の高さを…、いや、質の高そうなところを見せつけた。まあ、実際の実力はどうかは知らないが、この時点でのディペートの軍配は競技長に挙がったといって良い、競技者のほうが審判よりも遥かに偉くなってしまったようなブリーフィングは、どちらが悪いのかは知らないが、とても恥ずかしくて部外者に見せられるものではない。今度、試しにテレビ中継してみると良いのに…、少なくとも1回の放映に対して100人のファンを失うことにはなるだろう…。
僕は「NASCAR」のドライバー・ブリーフィングに何度か参加したことがあるが、ドライバーたちが集合し、それまでは当然のようにザワザワしていた会場が、競技長が入ってくるなり、誰からともなくシーンと静まり、今回のレースにおける注意事項や、そのコースのスペシャルルールを静然と聞く。 そして最後には神父さまが登場し、安全を祈って説教を語り、「アーメン」で締めくくるのである。何とも日本のレースのそれとは大違いである。 僕が観戦した中でも、ニューハンプシャーで行われたレースにおけるブリーフィングでの競技長の第一声は、「ブリーフィングの開始はいつまでも遅らせてやる、だからファンへのサインを断るんじゃない!」であった。 もちろん誰一人として反論はしない、こんなことは日本では考えられない光景であるが、一方でこういった光景を引き起こしている「メカニズム」といったものにも目を向けなければならない。 NASCARのトップドライバーたちは、年間、少なくとも数億円の賞金を稼ぎ、自らの名前を冠した帽子やウェアの売り上げのロイヤリティーが一人当たり平均数千万円は入ってくる。(すべてNASCARの運営で、) チームに対しても、その活動支援というものが整備されているし、誰もが勝手に参入できる訳ではない。長年やってきた、限られた「ファミリー」だけが参加を許され、ローコストなマシンで「猛スピードと爆音とバトル」をファンに提供する。 テレビ視聴率はスポーツ番組部門で2位(1位はNFL)のポジションを獲得し、毎戦スタンドは超満員の御礼でチケットは入手困難な状況であり、その年間の観客動員数は400万人にも達する。 そんな大成功している「サーカス団」なら、団員になりたいよね、軽業師(レーサー)なら誰でも…。 ところが誰でも勝手に参入できる訳ではなく、手厚く保護され、軽業師(ドライバー)も裏方(チーム)もビジネスとして堂々と成り立ち、成功し、繁栄を与えられている。そりゃあブリーフィングも静かだろうに…、 だって、誰もが「団長、若しくは座長」に食わせてもらってるんだから、しかも半端な数字じゃなく…、尊敬もされるわな…そりゃあ、って感じ。
ところが日本のレースは、自らが苦労してスポンサーを募って予算を獲得し、高価なマシンを作り、マシンを運び、ドライバーを雇い、エントリー代を払い、やっとの思いでレースに参加しても、賞金は恥ずかしくて人に言えないほどだし、奨励金も出なけりゃ、遠征費の援助もない。それどころか、どこの誰でも予算(スポンサー)を獲得すれば、すぐにでも参入はできる訳で、下手すりゃ、いつ、この世界から押し出されてしまうかも知れない…、明日のことはまったく保証がないまま、自分のことは自分で守るしかない。こういった事はどこの大人の社会も一緒なのだろうが、あまりにも厳しい障害を自らの努力で乗り越えているから、「座長」や「団長」を尊敬できるはずもないのが現実だ。
まあ、そんな事はいいとして、レースに目を移そう。 予選をコーナリングスピード不足から11位というポジションで終え、相棒の木下君のドライブでスタートした。 幾分マシンに不調を抱えているようで、彼にしては珍しくポジシションをさほど上げることなくピットインした。 どうやら原因はタイヤの内圧不足にあったようで、僕に代わってからはうまいことに調子を取り戻した。 敵のドライバー達のパフォーマンス不足にも助けられつつも順調にポジションを上げ、最終ラップでは4位をゲットすることに成功した。 ところがゴールまであと数百メートルに差し掛かったバックストレートに入るコーナーで、GT500の最後方を、しかも単独走行している「頭の悪い」ドライバーに追突され、5番手でゴールすることになった。(あと20m待てばストレートなのに…) GT300の、4台によるダンゴ状態の4位争いに追い着いて、しかも最終ラップで、己のポジションを考えることもできずに追突してくる「おサルさん以下」の知能しかないドライバーが、日本のトップカテゴリーを走っているなんて、実に情けないことである。 まあ、それはともかく、ここまで不調の渦に飲み込まれていたような福山さんであったが、今回は開幕戦以来の大活躍で「トンネル脱出」を果たすことに成功した。あ〜あ、スッキリした、やっぱ、オレッて相当実力の高い選手だよな、当たり前のことだけど、改めて実感したよ……。 ……、 ン…?
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