

V o l :2001/014
Date:2001/9/11
◇スーパー耐久/第6戦 T&I◇
チームの助っ人としてこの″RSオガワチーム″に迎えられた今シーズンであったが、早いものでシリーズも後半戦に入る第6戦を迎えることになった。全8戦で行われるこのスーパー耐久シリーズであるが、大体320Kmから500Kmの距離を市販車に近い形のクルマで走るこのレースは、シリーズ中には24時間(十勝)と4時間(富士)のタイムレースもある。4時間レースにおける走行距離は650Km程度になると思うが、24時間レースともなると、その全走行距離は3500Kmにも及ぶことになる。もともとこの″スーパー耐久″は、N−1(エヌワン)という、市販車をあまり改造しない車両改造規定の中で行われるレースで、そもそもの市販車の性能がレース結果に反映されやすいカテゴリーとして始まった。その一例としては、タイヤサイズの変更や、ブレーキのサイズや機構的なものの変更も許されず、それぞれゴムの性質やブレーキパットの変更などにとどめられていることや、エンジンなども基本的な市販車パーツを使用することが義務づけられていることなどにある。従ってレーシングカーとしての改造範囲はとても狭く、一般的なレーシングカーと比較してもその改造範囲は30%くらいに押さえ込まれており、過酷なレースを戦う上で、いかに市販車としての性能(素質)が優っているかが問われるレースなのである。
近年、レースの安全性を向上させると言う意味合いで、ブレーキ冷却ダクトの追加や、空力パーツ(ウィングなど)の改造緩和が許され、そのレース名も『N-1耐久シリーズ』から『スーパー耐久シリーズ』へと変更されたが、相変わらずレース距離を走り切るには相当なテクニックを要し、思うがままに飛ばしていたらクルマは最後まで走りきれない事には変わりはない。市販車ベースのノーマルがゆえに持っているアキレス腱(ウィークポイント)が根を上げてしまう訳だが、当然の事だが、庇ってばかりではスピードとしては望むべくもない。ここいら辺が難しい所なのである、コースによって気を付けなければならないポイントは変わり、タイヤの磨耗であったり、燃費であったりする訳だが、どのコースに行っても気を付けなければならないのがブレーキである。ノーマルパーツを多用しても、われわれの使用する三菱ランサーで最大400馬力近く出ているし、また、ひとクラス上のスカイラインGT-Rに至っては500馬力以上マークしている。最高速度に至ってはコースにもよるが270〜80Km/hを記録する所もあるくらいで、軽量化もさほど許されないこのボディを止めるのはノーマルサイズのブレーキでは不足しているのは言うまでもない。当然、小径の冷却ダクトは許されたものの、その温度は限界を超え、熟練ドライバーのテクニックが活かされるところである。おそらく同じラップタイムでも、ドライバーによってその温度差はローターで100度くらいは違ってくるだろうし、磨耗の部分に於いても20%は違ってくる。僕はこういった技術を要するレースが大好きで、金持ちや体の大きい人ばかりが勝つことの多い世の中で、我慢を重ね、知恵と経験で逆転優勝することは、なんとも言えない爽快感である。F−1もブレーキの使い方でミナルディなんかが勝ったりするほうが面白いよね…、それだったらオレなんかもまたF−1のドライバー目指しちゃったり…。
今回は木曜日のテストデーからクルマのハンドリングはイマイチだった、特に大きなセッティング変更はないはずなのだが、ほんの少しのところで納得がいかない。この頃、使用するランサーに関して、必要なハンドリングを完璧に掴み、レースにおけるハンドリングに関してはライバルのプーマランサーを上回る事もしばしばで(予選の一発は譲るが…)、その結果、何度も彼らを従えレースをリードしている。そのセッティングに関しては、何かが(例えば車高)2mm違っていても納得が行かないほど極めてきていて、今回もそのセットにたどり着くまで少々の時間を要した。問題はオーバーホールしたリアショックにあり、そのわずかな無視していいほどの仕様変更が原因であった、わずかなアンダーステアがレース距離におけるフロントタイヤの消耗と安定したラップタイムに不安を与える。スタートポジションを決定する予選タイムに於いても、もうひとつ伸びが得られそうになく、ブレーキシステムをニューにして少しでも稼ぐことにした。
予選はそんなハンディを背負っている心理からか、ちょっと無理をしすぎてブレーキをロックさせてしまい、タイヤをダメにしてしまった。ルール的には予選で走ったタイヤでスタートを切らなければならないので、タイヤを交換せざるを得ない我々は、最後尾スタートとなってしまった。やっぱ、無理しちゃいかんなあ、無理しちゃ……、自分では頑張っているつもりなんだけどちょっとムリしちゃってるんだね、ムリは「無理」なことだから無理と言うんだよな…やっぱ。
決勝は最後尾からガンガン追い上げて、多分30周くらいでクラス2位まで挽回した、この間チームは大喜びだったようで、毎周どんどん追い越してくるもんだから見ていて最高だったようだ。下位のクラスを追い越しているだけなので、見た目ほど難しくはないのだが、1周で5〜6台も抜いてくるとさすがに興奮するらしい、ピットの中は毎ラップ大歓声。まあ、これには僕の人柄ってヤツが大きく貢献しているね…、だってスタート直後、みんなこぞって進路を譲ってくれるんだもの、邪魔するヤツなんか一人もいなくて応援されてるようだったよ。もう最初から福山さんが来るからって構えてくれてるのかな、1台1台に手を上げて「サンキュー」するのが大変なくらいだった…。その声援?にも答えて、ちょうど折り返し点でピットインし伊藤君に交代した、素早いピットワークでプーマを追い越しトップに立った。ところが、敵のマイナートラブルにも助けられ安泰のリードを築き、いよいよ勝利が見えかかった残り20周、おもいがけなくブレーキが壊れてピットインすることになった。もうチーム全員が勝利を確信したところだったし、僕も表彰台に向けて再度レーシングスーツを着ようとしたところだったのに…。どうやら、今年はこんな年のようだね、素早い作業で2位には入ったものの、今回の優勝で今シーズンのシリーズチャンピオンはプーマ・ランサーの2人に輝くことになってしまった…。
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